【特集】オルタニカの自作スタジオ「ALT studio」。ゼロから作った音楽制作空間

【メンバー】オルタニカ:神谷 太呂 (Vo,Gt) / 高木 聖文 (Ba,Cho) / 栗本 大 (Syn,Cho,Gt) / 森本 慶 (Dr,Cho,Syn,Prog)

メンバー全員東京出身の幼馴染で結成したロックバンド「オルタニカ」。
普段、オルタニカが編曲・レコーディングを行っているのは、東京都神保町のビルの中にある「ALT studio」。このスタジオは、メンバー全員で部屋の解体から行って作った、自作スタジオだという。

他のアーティストへの貸し出しも行っており、プライベート感のあるレコーディングスタジオとして使われている。そんな、秘密基地の様なスタジオに潜入して話を聞いた。

[インタビュー・編集:佐々木拓也]

スタジオを借りると時間の制限があったりするけど、自分のスタジオだったら躊躇なく「もう1回」って言える環境になる。(神谷)

ーープライベートスタジオを作るきっかけになったことはありますか?

神谷(Vo.Gt):1枚目のアルバムでは、こだわり過ぎてめっちゃお金かかったんです。それで、こんなにお金がかかるんだったら「次はスタジオを自分達で作っちゃった方がいいんじゃない?」って思って。スタジオを借りると時間の制限があったりするけど、自分のスタジオだったら躊躇なく「もう1回」って言える環境になる。あと、歌もニュアンスを重視したくて、「今日はだめだ」っていう日もあるから、「いける」っていう時に録りたい。そういうことを考えると、スタジオ作った方が「次のレコーディングのことも含めると安いぐらいなんじゃないか」と思って。

ーー資金面で苦労しませんでしたか?

神谷:バイトしつつ、昼間に工事して、夜に路上ライブをして稼いでみたいなそういう活動をやってました。渋谷で路上ライブをやると結構CDが売れたり、投げ銭いただいたりして、それで資材を買ってました。

森本(Dr):1回路上ライブをやったら垂木を5、6本買うみたいな(笑)。

ーー総額どのぐらいですか?

森本:資材と機材で150万円ぐらい。最初のレコーディングとそんなに変わらないかもしれないです。

栗本(Syn):それでもう2枚録りました。

神谷:最初は100万円ぐらいでできる計算でした。「レコーディング費用をどんどん払っていくよりも自分たちで作った方が安い」と思って。

ーーどれぐらいの期間で完成しましたか?

森本:2015年の後半から作り始めて、2016年の12月に完成しました。プロの大工さんだったら1日で終わる作業が、俺らは素人だから1週間以上かかることもある(笑)。

ーー天井が斜めになっていますがこれも自分たちでやったんですか?

森本:そうです。剥がすと「鉄のチャンネル」っていうのがあって、斜めにできるんです。音響のことを考えて、斜めにしました。目に石膏ボードが入りながら(笑)。

栗本:あれ大変だったな。本当嫌だった(笑)。

森本:天井を剥がした時点で「もう後戻りできない」って思いました(笑)。

ーースタジオ作るのに1番大変だった部分はどこですか?

森本:きつかったのはドアですね。蝶番をはめるときドアが重たいので。

神谷:平行にしないといけないから、車を上げるジャッキを近くのガソリンスタンドから借りてきました。かなり危なかったよね。

森本:あと、壁を作る作業が1番時間かかったので根気がいるというか、やってもやっても終わらないので。

栗本:あの時期は戦争みたいだったよね。毎日なにかしらアクシデントが起きた。

ーーミスってやり直しもいっぱい?

森本:ミスりまくりですよ(笑)。素人なので考えが及ばないところがあります。例えば、ドアは真っ直ぐ入る予定だったんでが、蝶番の位置がちょっと斜めになってたから、斜めのままちゃんと締まるように路線変更して削ったりとか。

神谷:見た目はほとんど上手くいってないよね(笑)。

ーー外に音漏れしないですか?

森本:すぐ隣にいたら何かやってるなぐらいには聞こえるけど、そんなに気にならないですね。

ーー吸音材は何を使いましたか?

森本:ロックウールっていう綿みたいなやつ。

神谷:グラスウールだとガラスでできてるんですが、それだとチクチクするのでロックウールにしました。

森本:あとで調べたらロックウールの方が高級だった(笑)。

高木(Ba):惜しみなく使ったよね(笑)。

神谷:めっちゃ贅沢してる(笑)。

ーーここの物件はどうやって見つけたんですか?

栗本:僕のおじいちゃんのツテですね。そんなに高くない値段で借りてラッキーでした。

森本:改装するのも許してくれてね。

神谷:最初は千葉の成田に作ろうとしてました。森の中に急に「バーンってある家」を森本がグーグルマップで見つけてたよね。

森本:その地域の不動産屋に問い合わせたら「まだ空いてます」って言われて。

神谷:そこだったら「泊まり込みでレコーディングとかしていいんじゃない?」みたいな感じだった時期に今の物件が見つかりました。神保町なら他の人にも使ってもらえるし。

森本:成田はさすがに遠いよね。

栗本:でもそれぐらい本気でした(笑)。

森本:「週の半分ぐらい泊まり込んでもいいや」ぐらいの感覚でいました(笑)。

音はデッドで締まってる。歌とアコギが1番よく録れます。(森本)

ーーALT studioは貸し出しもしているということですが、一般的なスタジオと同じような機材が揃ってるんでしょうか?

森本:ドラムは電子ドラムで、ベースはラインでPAシステムから出してます。それ以外はあります。

ーードラムセットとベースアンプは音的な問題?

神谷:そうですね。ボーカルレックが中心のスタジオ営業方針にしています。

森本:この部屋は最初に床を全部剥がして、躯体という建物そのものの構造に直接、海外の防振のシートを敷いて、ゴムシート敷いて、また防振シートを敷いて、最後にコンクリート板を乗せて作った浮床です。だから音はデッドで締まってる。歌とアコギが1番よく録れます。

ーー弾き語りの1発録りとか良さそうですね。

神谷:それは最高です。そういう人にも使って欲しいです。

※オルタニカ 神谷太呂の弾き語りサンプル音源