【メンバー】タカノハシ リキヤ [YUMEGIWA GIRL FRIEND Vo/Gt ]しゃおん[ chocol8 syndrome Vo ] カースケ[ヨイズ Ba] 藤田 昂平[.(dot)any Vo/Gt ]
今回は『KNOCKOUT FES 2020 spring』に出演する、タカノハシ リキヤ [YUMEGIWA GIRL FRIEND Vo/Gt ]しゃおん[ chocol8 syndrome Vo ] カースケ[ヨイズ Ba] 藤田 昂平[.(dot)any Vo/Gt ] の4名に登壇してもらった。『KNOCKOUT FES』についてはもちろん、新型コロナウィルスの影響による「有料ライブ配信」「クラウドファンディング」など現在の状況の中で生きてきたコンテンツについても語り合ってもらった。
[インタビュー・編集:仲尾静輝 撮影:増村 ゆき]
※『KNOCKOUT FES 2020 spring』自体は中止となりました。
自分達と近いジャンルのイベントの方が違うことをやろうと思います。(タカノハシ)
ーー今日は『KNOCKOUT FES 2020 spring 2020 』に出演する今勢いのある4組にお集まりいただきました。皆さんはライブなどでご一緒されたことはあるんですか?
しゃおん:初めましてですね。 藤田:ヨイズとは、一緒にツアーに行きました。
カースケ:そうですね。
藤田:他の方は初めましてですね。
タカノハシ:対バンしたことあります(笑)。
藤田:あっそうでした!MOSAiCでしたよね?
タカノハシ:TUTAYA O-crest です。
一同:(笑)。
ーー『KNOCKOUT FES』も然り、下北沢ではサーキットフェスが多く開催されていますが、サーキットフェスの増加について感じることはありますか?
しゃおん:場所というよりかは、主催者で色がすごく変わるなと思います。やっぱり主催者が好きなバンドが集まるので。chocol8 syndromeも、毎年サーキットイベントを開催しているんですが、うちが主催なので女性ボーカルが多いイベントになります。
ーー女性が多く出演するサーキットイベントは、男性のお客さんが多いとかそういう部分も色になっていますよね。他の方はどうですか?
藤田:僕も主催者次第かなと思います。『KNOCKOUT FES』は、ジャンルはオールジャンルですが、ネクストブレイクという点で色がしっかりありますよね。去年、下北沢RéGの鈴木さんが開催した「7秒とロック」に出演させていただいたんですが、そのイベントはいわゆる歌モノギターロックに特化したイベントで、界隈を絞ることで意味が出てくるなと思いました。
ーーそうなんですね。サーキットフェスに出演される中で、自分たちの音楽のジャンルとは違う色のイベントに出演することもあると思うのですが、そういう時はライブのスタンスを変えたりするんですか? か?
カースケ:多少曲のカラーは変えるかもしれないですが、ライブのスタンスは変えることはないですね。
タカノハシ:そうですね。むしろ普段よりいつも通りにやろうと思います。自分達と近いジャンルのイベントの方が違うことをやろうと思いますね。
藤田:僕も合わせにはいかないと思います。ラウドのバンドのピークに合わせて演奏しても多分敵わないので、そういう時はあえてバラードから始めてみたりします。

ーー今回『KNOCKOUT FES』は過去最多の会場数で多くのライブハウスを訪れる事が出来ます。皆さんが下北沢のライブハウスに最初に出た思い出とかキッカケはなんだったんですか?
しゃおん:下北は歌モノとかギターロックのイメージが強くて、chocol8 syndromeはわちゃわちゃするバンドなので、活動を始めて2、3年あたりまでは全然出て無かったんです。多分初めて出たのはMOSAiCなんじゃないかな。
藤田:それまではどの辺でやられてたんですか?
しゃおん:渋谷のRUIDOとかチェルシーホテルとかが多いですね。
タカノハシ:僕は7、8年前に前身バンドで、MOSAiCに出てその時から前店長の森本さんに「曲ええな!」と言ってもらって今に至ってます。
カースケ:ヨイズで一番初めに出たのはClub Queですね。WALTZMOREが改名する企画で呼んでもらって出演しました。初めて下北沢にライブを見に来たのは、中学生くらいの時にMOSAiCだった気がします。下北沢のライブハウスってこんなに白いんだって思いました。
藤田:下北沢には色々思い出はあるんですけど、10代の頃から下北沢GARAGEにお世話になっていました。前身バンドの初ライブの日に東日本大震災が起こって、ちょうどリハーサル中でその日のイベントはなくなりました。それからしばらくはライブを出来る雰囲気ではなくて、今の状況に近い感じでしたね。
ーーそうだったんですね。現在、新型コロナウィルスの影響でライブハウスは営業の自粛要請もあって、多くのイベントがなくなっています。chocol8 syndromeはそういう中で名古屋で2会場のイベントを開催されましたが、どうでしたか?
しゃおん:3/22に『ちょこフェス!2020inNAGOYA』を開催しました。元々3会場の予定だったんですが、出演アーティストのキャンセルが多く出て、2会場に縮小しました。でも、キャンセルしたライブハウスのレンタル代は支払わなければいけなかったので、大赤字からスタートしました。今こういう状況の中でも来てくれるお客さんは気合がすごくて、結構暴れるバンドの時もマスクを外さずにいてくれて嬉しかったです。
藤田:僕も最近ライブをしたんですが、意外とお客さんは来てくれましたね。こういう状況の中でも来ていただいて「ありがとう」しかなかったです。
カースケ:僕たちは.(dot)anyとのツアーファイナルのイベントが延期になったりして、最後にライブをしたのが、2/11の『ちょこロックフェス』ですね。
しゃおん:その頃はまだ自粛ムードがなくて、7会場を押さえていたので今の状況と被っていたらと思うと恐ろしいです。
ーー自粛要請が出されている中、最近では「無観客配信ライブ」が注目されてますよね。みなさんは配信ライブをされたことはありますか?
しゃおん:東京見放題が規模を縮小して開催するってなった時にピンチヒッターとして出演する予定でしたが、結局中止になりました。それで、ライブハウスは空いてるし見放題に来るはずだったお客さんの事も考えて初めてライブ配信をやりました。急遽だったので設備を整えることができなくて、画質と音質はそこまで良くなかったんですが、最終的には約6000人の方に見てもらえました。
ーー「ロックバンドたるもの配信ライブなんて…。」みたいな抵抗はありませんでしたか?
カースケ:僕らも.(dot)anyとのツアーファイナルを予定していた日に、配信ライブをやりました。抵抗はなかったんですけど今までやったことがない分、配信が途中で切れたりしてしまうトラブルもあって大変でしたね。
藤田:ライブが出来ないから配信をするというのはちょっと違うと思っていて、自分達がコンテンツとして配信をやる意味を明確に見出すことが出来ればいいと思うんですけど。
タカノハシ:僕はそんなに抵抗はないですね、音が届けばいい。
藤田:6000人ってライブハウスで言ったらすごいキャパシティですけど、それをノーリスクで出来ちゃうのが配信のすごいところですよね。
タカノハシ:ここからしばらく配信ライブを有償化するのが、スタンダードになっていく気がします。不本意ですけど。
藤田:それと、バンドが一方的に届けている感覚はやっぱりあります。
カースケ:ライブハウスによっては、いつもより安価でゲネ(本番と同じ環境でのリハーサル)をさせてくれるところもありますよね。そういう風に使えるのは嬉しいですね。ライブができない状況だからこそ、配信以外ならアーティストは鍛錬するしかない(笑)。
しゃおん:発信することがなくなって、3ヶ月くらいなにもしないでいるとお客さんの心は離れていくと思うんですよね。

iPhoneに代わる音楽を聴く媒体が出た時に求めているものとは違う音になるんじゃないかなと思う事がある。(藤田)
ーー最近では事務所に所属しなくても、CDを出せたりプロモーション活動が出来るようになりました。皆さんは、事務所には所属せずに活動をされていますが、それはやっぱり自主で活動することにメリットを感じているんですか?
藤田:僕はエージェント契約しかしたことないんですけど、やっぱり事務所に所属して活動したいと思いますね。自分達で取って来れるイベントの規模に限界がある印象はあって。
タカノハシ:僕も事務所に所属したい理由は完全にそれですね。
藤田:僕らみたいなインディーズバンドって、まずは認知してもらわないといけないので、そのキッカケを与えてもらえるイメージがあります。
しゃおん:すごいお金をかけてくれて、いいところに出させてくれる事務所を探しているところです(笑)。
タカノハシ:声をかけられたりしないんですか?
しゃおん;あるんですけど、条件とか相性が合うかを考えて慎重に何社かお話させてもらったりはします。
タカノハシ:羨ましい。うちは誘われた事もないです(笑)。
カースケ:僕らは、自分達が納得出来る力を出せるようになるまでは、自主でやらないと意味がないという認識で活動を始めたので、それが出来るまでは次のことは考えてないですね。
タカノハシ:大きいフェスに出たいですけど、自分的には事務所に入ってないカッコいいバンドが好きなので、そっちの方面も憧れますし悩みますね。
ーーそうなんですね。皆さんサブスクリプション(以下:サブスク)で楽曲の配信をされていますが、実際に定額配信してみてどう感じていますか?
カースケ:僕的には曲を聞いてもらえるのが1番いいので、サブスクは手軽でいいですね。もちろんCDも買ってもらいたいんですけど、媒体を問わずとりあえず曲を聞いてもらいたいですね。
タカノハシ:サブスクは便利なんですけど、憧れとしてCDにしたいと思う部分はやっぱりあります。
藤田:サブスクって新しいものを発掘する上ではすごくいいと思うんです。最近ではレコーディングした曲のミックスやマスタリングをする時に、iPhoneを通して聴くっていう行程も多いのですが、もしこの先iPhoneに代わる音楽を聴く媒体が出た時に求めているものとは違う音になるんじゃないかなと思うことはあります。
カースケ:確かに。 タカノハシ:Apple MusicやSpotifyって音圧制限があって、これ以上上げるとコンプレッションされるっていうラインがあるんです。うちらは前作のマスタリングの時、そこでせめぎ合いましたね。
しゃおん:好きなバンドのサブスク音源が消えちゃう事があって、CDを持っていないと突然聞けなくなるリスクは感じます。インディーズバンドは契約期間が決まってる場合が多いのでそういう事がありますね。

ただお金を集めるんじゃなくて、協力してくれる人にメリットがあるリターン内容をちゃんと考えたい。(カースケ)
ーー今回の騒動でクラウドファンディングの活用も目立っていますが、アーティストの中には、クラウドファンディングに抵抗を持っている人も多いと思います、みなさんはクラウドファンディングを利用した事はありますか?
藤田:僕らは去年やりました。僕らのお客さんは10代の学生のが多くて、高いプランとかはやっぱりなかなか出なかったです。結果的には60%くらいの達成率だったので、お客さんの層によっても変わってくるのかなと思いました。
タカノハシ:めちゃくちゃ抵抗ありましたね。今はそうでもないですけど。
しゃおん:私達クラスのバンドって資金を蓄えて置く事が難しいじゃないですか?バンドってコスパは悪いので、そういうところでお客さんに支援してもらって、その分リターンで返すっていうのは良いと思います。
カースケ:もし自分達がやる時がきたら、ただお金を集めるんじゃなくて、協力してくれる人にメリットがあるリターン内容をちゃんと考えたいですね。
しゃおん:バンドってリターン内容がめちゃくちゃ難しくないですか?アイドルだったら、お金を積めば積むほど距離が近くなっていくっていうのが主流だと思うんですけど、バンドって音楽を売っているので、出資してくれた人に自分は何を還元出来るんだろうって思います。
ーーそうですよね。特に男性がボーカルのバンドは難しいと思います。.(dot)anyは去年クラウドファンディングを実施した時のリターンは何にしたんですか?
タカノハシ:すごい気になる。 藤田:高いものだと、Dr.のアツユキが初めて買った入門用のドラムセットとか、僕は1年目のワンマンで使った衣装とかエフェクターをリターンにしました。それが1万円のプランでしたね。 私物も売れましたが、ほとんどはオリジナルステッカーとか、5千円のプランが多かったです。
カースケ:これは笑い話なんですけど、ボロボロの機材とかを定価以上でリターンにしてるのを見ると「それいらねぇだろ」と思うことはありますね(笑)。お客さんからすれば価値があるのかもしれないですけど。
タカノハシ:レクリエーション的なものを、大した自信だなって思う価格で売ったりしている人もいますよね。
しゃおん:最近ではチェキを男性バンドもやるようになってきています。アイドルっぽいんですけど、お客さんはその日の私服で写れるし、バンドもそのお金で新しいCDを作ったり出来て、結果的にWin-Winにはなってますよね。
藤田:チェキはやっぱり抵抗がありますね…。
タカノハシ:めちゃくちゃ捌けるって聞きます。ニシマケイ(YUMEGIWA GIRL FRIEND Ba)でやろうかな…。
カースケ:人がやってるのは本当に気にならないんですけど、ヨイズのカラーにはあわないなと思います。
しゃおん:お客さんも応援の仕方を探してると思うんです。chocol8 syndromeは、その日の日付が入ったパスステッカーを500円で販売しているのですが、それしかお金を落とすところがないっていうお客さんもいて、そういう部分でもチェキっていいなと思います。
藤田:確かにチェキには鮮度もあるし、いいのかも。
タカノハシ:チェキの相場っていくらくらいなんですか?
藤田:アイドルの子は千円って言ってました。囲みとか色々種類があるみたいですね。僕らのお客さんで高校生くらいの子がグッズを買ってくれる事もあるんですけど、無理に買ってくれなくていいんだよって申し訳ない気持ちになる事もありますね。

『KNOCKOUT FES』は玄人がやってる感じがします。(しゃおん)
ーーYUMEGIWA GIRL FRIENDは『KNOCKOUT FES』の中ではレギュラーバンドな立ち位置ですが、『KNOCKOUT FES』に思い出はありますか?
タカノハシ:たくさんありますね。僕らは初回から出させてもらってるんですけど、バンド結成当時は、自分もかなり尖っていて。そんな時代から出演してる思い出深いフェスですね。
カースケ:『KNOCKOUT FES』は僕が19歳で、まだサーキットフェスになっていない時に出たことがあります。この前、当時のタイムテーブルの画像を見つけたんです。改めて見ると、ARCHAIC RAG STOREのギターが今のメンバーだったり、Shout it Outもずっとサポートをしていたので色々繋がってますね。
藤田:赤い猫懐かしい。
カースケ:赤い猫は僕の高校時代の先輩なんです。
しゃおん:私たちは今回で2回目の出演なんですけど『KNOCKOUT FES』はちょこロックフェスでも、推薦枠で参加してもらっていたりお世話になっています。
藤田:僕らも2回目の出演で、1度目は結成当初でした。サーキットフェスに出るのはそれが初めてで、普段のブッキングライブ以上にパンパンの会場で見る景色に感動しましたね。
ーーサーキットイベントって蓋を開けてみないと、どれくらい来てくれるか分からない部分がありますよね。他に何か思い出はありますか?
カースケ:前回、ヨイズで出た時に『KNOCKOUT FES』に来るのも久しぶりだったので、ずっと友達と遊んでましたね。
しゃおん:確かにめちゃくちゃ知り合いに会いますよね。
カースケ:ライブ終わったあともライブハウスで飲んでたり。
しゃおん:やっぱり各ライブハウスの人達も協力してやっているので、参加しやすいし『KNOCKOUT FES』は玄人がやってる感じがします(笑)。
カースケ:東京以外のバンドともサーキットフェスでは会える事が多くて、postmanとか仲良いので今回のタイムテーブルの並びだと遊べるなっていう(笑)。
カースケ:最近は、最後に大トリを設けるフェスっていうのもあまりないですよね。こういうのはロック臭くて好きです。
タカノハシ:お客さん来てくれるかな…。『KNOCKOUT FES』の大トリは見たいけど入場規制で入れなかったっていう人が多いんです。でも、うちは絶対入れると思います。なので見に来てください。
藤田:初回から出続けているバンドに大トリを託してるあたり、思いを感じますね。
ーーでは、最後に今回の『KNOCKOUT FES 2020 spring』への意気込みをお願いします。
藤田:今回はERAのトッパーで、縦並びが勝負したいと思っていたバンドが揃っています。早い時間なんですけど、僕らが良い雰囲気を作れたらと思うので是非見に来てください。
しゃおん:『KNOCKOUT FES』はカラフルなフェスだと思うんですけど、その中でもうちが一番カラフルだと思うので、是非見に来てください。
カースケ:今回は最大規模での開催という事で、僕らのことを知らない人にこそ、ガッチリ爪痕を残せたらなと思います。
タカノハシ:最多出場なので、その意地を見せるステージにします。どうか帰らないでいただきたいです!(笑)
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